1979年5月、東京の流通センターで開催された日本マイクロコンピューター・ショウ(マイコンショウ)で発表された日本電気のPC-8001は、本格的なパーソナルコンピュータとして大きな反響を呼びました。NHKテレビのニュースでも取り上げられ、連日NECのブースには大きな人だかりができました。
それまでのマイクロコンピューターと言えば、NECのTK-80BSやCOMPO BS/80など、ブームを呼んでいたとはいえ一部のマニア向けのものか、たいへん高価な米国製のパソコンしかありませんでした。ところがPC-8001はそれまでのパソコンやマイコンキットよりも安い¥168,000という価格で、海外にも通用する本格的なMicrosoft BASICインタプリタを搭載し、最新のZ80A-CPU、16KバイトのRAM、カラー表示やグラフィックス機能を標準で搭載していたのです。しかも当時はまだ一般用には珍しかった5インチのミニフロッピー・ドライブなど数々の周辺機器をシステム化して本格的なコンピューター・システムを実現できるものでした。
このPC-8001を皮切りに各社は次々にパーソナルコンピュータを発売し、普及が始まります。NECはその先兵としてPC-8801、PC-6001、PC-9801など市場をリードするメーカーとして君臨していったのです。PC-8001はその初代機として歴史的にも名を残す名機となりました。
私はこのPC-8001を見てかなり物欲が高まりましたが、結局購入することはありませんでした。なぜならその頃はロジック回路を組むことが何よりの楽しみであり、PC-8001を購入してもせいぜい雑誌を買ってきて掲載されていたプログラムを打ち込んで楽しむことくらいしか用途として思い浮かばなかったからでした。それよりは研究室でのTK-80BS+Z80Aシステムを使った計測制御の方が、実際に組み上げた通りに動く楽しみという意味で勝っていたのです。
・・・というより、またもやTK-80E/BSシステムに30万円近くも投資した上に、本体だけで¥168,000、カラーディスプレイやらミニフロッピードライブなど併せて50万円近くもになるお金がなかったというのが本音でした(苦笑)
いままで自分はどのくらいパソコンに投資してきたのでしょう。軽自動車が買えるくらい?いやいや、もっと大きい額です。外車が買えるくらい?そこまでいくかどうか。ちょっと考えてみます。
購入したパソコンやマイコン | およその金額 | |
NEC TK-80/BS+モニタ | ¥320,000 | 電源やケース含む |
NEC PC-100+漢字プリンタ | ¥1,000,000 | プリンタ約30万円 |
NEC PC-9801RA2 | ¥300,000 | |
NEC PC-9821NA/C | ¥240,000 | |
NEC PC-9821Ne | ¥250,000 | ディスカウンター |
NEC PC-9821CX13/S15T | ¥320,000 | |
SONY VAIO N505 | ¥200,000 | |
DELL Inspiron 600 | ¥160,000 | ダイレクト |
東芝 Dynabook SS | ¥165,000 | |
SONY VAIO T50B | ¥145,000 | |
IBM Thinkpad X41 | ¥70,000 | オークション |
IBM Thinkpad T43 | ¥120,000 | |
Lenovo Thinkpad X61 x2 | ¥130,000 | 2台オークション |
Lenovo Thinkpad X61 | ¥100,000 | 最上位モデル |
Lenovo Thinkpad X200 | ¥90,000 | ダイレクト |
Apple Mac Mini 320GB | ¥80,000 | |
Lenovo Thinkpad X201 | ¥132,000 | ダイレクト i7-CPU |
Apple Mac Air | ¥55,000 | DoCoMoセットで |
う~ん、やっぱりかなりの投資ですねえ、ざっくり総額でももうすぐ400万円に手が届きそうです。。。国産車でも上位クラス、フォルクスワーゲンのゴルフなどの乗り出し総額に匹敵するくらいなんですね。
昔のパソコンと現代のそれを性能で比較するのは正しくないけれど、単純に考えてみて昔のパソコンの金額の高さにはため息をついてしまいます。薄給の割にはよくもまあ買ってきたなぁ(苦笑)
やっぱりなんだかんだ言っても自分はこの世界で生きてきたから仕方ないというか勉強をさせてもらいましたです、ハイ。
ただパソコン初期当時の興奮、スペックを見るだけでうっとりし、そのスタイルに納得し、スクロールの速さに驚愕し、グラフィックの美しさに魅了され・・・などという想いはすっかりと忘れてしまいました。今はといえば反応の悪さに怒り、ブルースクリーンに気力を失い、ウィルスに驚きといった文句ばかり。
でも着実に進化しているパソコン。大学時代に大型コンピュータ(FACOM M160S)で試した円周率の計算は1,000桁を処理するのにCPUタイムで3分もかかりましたが、現代のパソコンでは一瞬で終わります。リアルタイムの3Dアニメーションなんて昔は絶対に無理、あり得ないといわれていたのがいまは家庭用のノートパソコンで当たり前に使われています(3Dゲームなど)。
きっとこれからもパソコンは買い続けていくのでしょうね。だってパソコンはもはや憧れの対象ではなく生活の必需品なのですから。