Canon AE-1発売後ちょうど5年が経過した1981年(昭和56年)4月、後継機として登場したのがこの Canon AE-1+Programでした。正式にはCanon AE-1(プラス・プログラム)またはAE-1+Pと呼ぶらしいですが、長年の間にプラス(+)が消えてしまったようです。キヤノン博物館でもプラスを入れていませんのでここでもAE-1 Programと呼ぶことにします。
さて、従来から AE-1の特徴でもあったシャッター優先AEモード(Tv)に、Canon A-1で注目を浴びたプログラムAE(P)モードを加えた形になっています。あとは絞り込み実絞りAE、スピードライトAEを加え4モードAE機としたのがAE-1 Program (以後AE-1Pと称します)の最も大きな特徴でした。
AE-1Pを語るとき、誰もが「これはAE-1後継というよりA-1のローコストモデルだ」と表現しますが、確かにプラットホームの原型を考えるとき、AE-1PはAE-1後継のために A-1から派生させて開発されたモデルだと思わざるを得ません。もちろん A-1同様完全デジタル設計で、マイクロコンピュータによる制御を基本としていますので、A-1に比べるとソフトウェアにもたいぶ改良の手が加えられていたと思います。マイクロコンピュータ自身も当時は日進月歩で改良され、性能面だけでなく低消費電力化についても改善されていました。
初代AE-1から5年が経過する中で、世の中の景気も順調に伸び、大学初任給は1.28倍になっていました。でも定価の方も同じFD50mm F1.4付きで比べるとAE-1Pではおよそ15%の値上げとなっていました。それでも大卒初任給よりも安くなり、一眼レフカメラは庶民に手の届く存在となったことに間違いありません。
そうした中で、このAE-1Pは再び市場から歓迎され、初代AE-1に匹敵する(もしくは上回るほどの)出荷台数となりました。AE-1と併せると、なんと850万台近くの累計出荷台数となり、これはカメラ史上でも類を見ないほどの大ヒット作だったことがわかります。