Canon New FDレンズ群の中でも基準となるレンズです。従来のFD50mm F1.4 SSC光学系を引き継ぎながら、ISOカラーバランスの標準をクリアしNweFDレンズ系のカラーバランスの標準原器となっているほどです。F1.8やF2などのキットレンズも用意されましたが、やはりカメラを知っている人はこのF1.4を必ず所有していたはずです。レンズ鏡胴の長さや重さなどバランス的にも申し分なく、またこのレンズは様々な産業用レンズとしても使用されました。
どのメーカーの標準レンズでも、F1.8というとやはりローコストレンズとして扱われているようですが、New FD50mm F1.8は先代のFD50mm F1.8 SCに対してマルチコートとなり、その画質は大きく改善されています。F1.4に比べて多少開放F値が暗くなると言っても、その差はわずかなもので、その代わりにF1.4よりもずっと軽く女性の愛好者には取り回しも良く重宝されたと思います。
私は、キヤノンのレンズカタログにこのFD50mm F2がリストアップされているのを見たことがありません・・・というくらい、あまりメジャーな存在ではありません。実はこのレンズは単体販売されず、キットレンズとして例えばCanon AV-1やAL-1などのボディと一緒に販売されていました。ですから私もこのレンズの実力はよくわかりません。実写もしていないのです。
現代のデジタル一眼レフなどは非常に高感度なので、開放F値がF4などのレンズでも普通に常用されます(ボケの程度を我慢すればという条件はありますが)。でも30年前ではフィルムの標準ISOは100でしたし、高感度フィルムでもISO 200や400程度までが限界でした。どちらかと言えばコンパクトカメラから一眼レフに進んでいくユーザのために存在したレンズなのでしょう。鏡胴も短く吹けば飛ぶような軽さが特徴です。
最近の標準ズームレンズは当たり前のようにマクロ機能がついているので、それで間に合わせてしまうことが多いのですが(笑)、本来はこうした単焦点のマクロレンズを使うべきであって、ピタリと焦点があったときには息を呑むような写真が撮れたりします。このマクロレンズは50mmで単体で1/2倍までの撮影が出来るほか、ライフサイズアダプター(Canon LIFE SIZE ADAPTER for Canon MACRO Lens FD50mm F1:3.5)というアタッチメントを使うと等倍撮影が出来ます。確かこのアダプターはレンズ同梱になっていたと思います。調べてみるとこのレンズは旧世代のマクロFL50mm F3.5の光学系を引き継いでいるもののようですね。
標準マクロなので被写体に近付いて撮影するのが基本です。美しい花などの撮影に適し、昆虫など逃げてしまうような被写体を狙う場合は望遠マクロを使います。