1980年に発売されたこのレンズは、旧FDレンズ時代にもFD85mm F1.2 ASPHERICALという名前で販売されていました。そのNew FD版ということになります。研削非球面レンズが使われており、¥113,000という定価は当時の新入社員のボーナス夏冬1年分まるごと持って行かれてしまうくらいの価格だったので、私たち庶民には手の出る値段ではありませんでした。今は程度の良い中古品が半額以下で入手可能なので、やっと憧れのレンズを手にしたって感じです。
カラーバランスだけでなく色のにじみなどを抑えて切れの良い解像感のある描写をしてくれます。またF1.2という明るさはクラス最高のもので、現代でもなかなかF1.2というレンズは一般的ではないほど明るいです。また現在のEFレンズ系であるEF85mm F1.2Lに比べれば遙かに小型で扱いやすいレンズです。
100mmという焦点距離はポートレートに最適と思いますが、FDレンズを常用していた頃は、なぜか85mmの上は135mmへ飛んでしまっていました。ですからあまり使い込んではいません。本レンズもかなりの美品状態を保っています。開放F値はF2ですから明るさも十分です。
望遠マクロです。昆虫などを少し離れたところから狙うのに適したレンズです。普通の望遠レンズは前玉が大きいのですが、マクロだと普通のレンズとは前後が逆のような構成になっているので、レンズを前から見ると奥の方に小さい前玉が見えるだけなので少し不安になったりします(笑)。むしろ後玉のほうが大きく見えます。またピントリングを回すとレンズの繰り出し量が大きいので少し驚きます。それだけピントの微調整がしやすいのです。このレンズは50mmマクロと同様に単体では1/2倍までの近接撮影が可能ですが、等倍撮影をするにはエクステンション・アダプターFD50を装着する必要があります。(50mmマクロ用のアダプターは流用できません)
このレンズは恐らく後のEF135mm F2L USMを開発した際のベースになったレンズではないかと思われますが、私に言わせればEF135mm F2Lよりもピント部分のシャープさや解像感、ボケの美しさなどどれをとってもこのFD135mm F2のほうが明らかに上回っていると思います。ポートレート撮影には絶大な信頼感を置いているレンズです。
ちなみに本サイトのヘッダーで恵美さんがCanon New F-1を構えている姿を使用していますが、そこに装着されているレンズがこれです。