Canon EF-M

1991年(平成3年) 9月発売(海外のみ)

Canon EF-M EF50mm F1.4 USM付き
Canon EF-M EF50mm F1.4 USM付き

Canon EF-Mというと最近の検索ではCanonミラーレスカメラであるCanon EOS M用に開発された、Canon EF-Mレンズのことが多く出てきますが、このCanon EF-Mカメラは今から20年以上も前に発売された海外向け専用のカメラでした。

 

さて本コレクションの別ページで、Canon T-60 というカメラもユニークな立ち位置であるとして紹介しましたが、このEF-Mもそれに決して劣らない立ち位置を持つ不思議なカメラでした。

  • 何といっても特異なのは、わざわざAFカメラであるEOSシリーズ用として新規開発したEFマウントを採用し、EFレンズ専用であるのに何故かマニュアル・フォーカス専用カメラであること。
  • T60同様に、日本国内では販売されず海外専用モデルであったこと。
  • T60とは異なり、キヤノン自身が開発を行ったものですが、製造は台湾製となっています。

当時も米国のカメラ店には度々立ち寄ってはいたものの、T60の時とは異なりEF-Mはあまり記憶のない製品でしたので、正直ヒット商品になったかどうかはわかりません。とにかくコレクションとしてはレアな存在であることは間違いありません。さらに国内で入手しようとしても滅多にオークションにも出品されたりしていないようです。日本の方で個人のウエブサイトでEF-Mを取り上げておられる方はいくらか散見されるものの、数は少なくコレクション魂がググッと持ち上がってきました。

 

この個体はeBayという世界では有名なオークション兼ショッピングサイトです。たまたま某カメラ店によるデッドストック品(という名目で)数台出品されていたのを一台入手したものです。送られてきたEF-Mは確かに傷ひとつなく未使用という状態が正しいような逸品でした。元箱には本体の他に取扱説明書と国際保証書が同梱されていましたが、ショルダーストラップなどのアクセサリーは入っていませんでした。でも電池を入れて試してみると全く問題なく使用でき、その日からコレクションの一員となっています。

さて、このEF-Mというカメラについてスペックがあまり語られていないので、以下に簡単ですが記述します。

  • 35mmフィルム方式フォーカルプレーン・シャッター内蔵のマニュアル・フォーカス式一眼レフカメラです。
  • Canon EFマウントを採用(マウントはプラスチックです)。
  • 装着できるレンズはCanon EFレンズ群。ただし一部のMF非対応のレンズは使用できません。
  • 標準レンズはEF50mm F1.8II、およびEF35-80mm F4-5.6
  • ファインダー視野率は90%、視野倍率は0.75倍。ペンタプリズムを搭載しています。視度補正機能内蔵(EOSと同じ方式)。 フォーカシングスクリーンは中央部スプリットマイクロ方式。
  • シャッターは縦走り電子式フォーカルプレーン方式。1/1000秒から2秒まで、バルブ機能内蔵。フラッシュのX接点同期は1/90秒。
  • AE方式はプログラムAE(P)、シャッター速度優先AE(Tv)、絞り優先AE(Av)があり、AEロック機能もあります。またマニュアル測光も可能です。
  • TTL測光方式は、評価測光(Program AE時)、中央部優先平均測光(Tv, Av時)、中央部部分測光(Tv, Av時)となっています。露出計感度はEV-2から+20まで。 
  • 露出補正機能も装備。最大+/-2段まで、0.5段ステップで設定可能。
  • ISO感度対応については、フィルムのDXコード自動読み取りで25-5000まで、マニュアル設定でISO6-6400まで設定可能です。
  • ワインダー内蔵。フィルムの自動装填機能と自動巻き取り機能あり。
  • バッテリーは2CR5リチウム電池を使用。
  • サイズは148mm(W)x96.3mm(H)x68mm(D)、重量は390g(バッテリー別)
  • その他としては、EOSカメラ系のスピードライトが使用でき、フラッシュオート機能(1/90秒固定)も装備されていました。ボディは防塵防滴ではありません。

写真を見ていただくと分かり易いのですが、もともとマニュアルフォーカスに加えてAEモードもシンプルで分かり易く、その設定も軍艦部の両肩にある二つのダイヤル(シャッター速度と絞り値)で簡単に設定できますから、設定項目の多いEOSカメラに比べるとすぐ操作になれるという特徴があります。

 

このEF-MはEOS1000Sを元に設計されたという話もありますが、本当なんでしょうか。EOS1000Sを見てみてもどこも似たところがありません。ひょっとするとシャッターなどのメカ部分を流用して大きな設計変更がなされたのかも知れません。ボディーシルエット的にはむしろ初代のEOS620/650系のほうが近いように思えるのですが。

 

このカメラがどのくらい売れたのかは引き続き調べていきますが、ひょっとすると台湾の工場で製造され輸出されたキヤノンの一眼レフとしては、このEF-Mが最初だったものと思われます。台湾工場の立ち上げ用モデルだったのかな。

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※この時計の時刻は、閲覧しているパソコンのものであり、必ずしも正確な時間とは限りません
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