SONY 業務用CDレコーダー
・CDR-W33
(平成12年9月発売)
¥75,000
本機はCDR-W66の弟分というと分かりやすいしカタログにもW66と一緒に載っているため、単なる低コストモデルのように見えますが、両者の性格はまるで違います。
このCDR-W33は、用途としては多目的ホールや学校などで使用されることをメインに想定されて開発されたものと思われ、スタジオや放送局などでの使用に必須な平衡型入出力機能、AEC/EBU対応デジタル平衡型入出力機能などが省略され、一般の光・同軸デジタル入出力や普通のRCAアナログ入出力のみとなっています。さらに大きな違いは本機はコピーマネジメントに関しては家庭用デジタルレコーダと同様SCMS準拠となっていることです。そのためCDR-W66のようにデジタルのまま編集を繰り返しながらマスターを創り上げることができません。
その一方でDSPを用いたSBMやデジタルフィルタ(イコライザ)、デジタルリミッタなどはW66と同様のものを持っているのは不思議です。しかもこれは光・同軸デジタルには対応せずアナログ入力時しか使うことができないのです。
本格的なプロであるならば、AEC/EBUデジタル入出力を利用してフルデジタル編集を必要とするはずで、そういう用途にこそこのDSPデジタルフィルタは役に立つのではないかと思いますが、それらのプロ用インタフェースをばっさり切り落としてしまったW33の存在は中途半端にしか思えません。
まあ、W66の半額近い価格でアナログ接続で済ませてしまう用途であればコスト性能比は高いというべきなのでしょう。また、TASCAMなどで販売していた、平衡(XLR)-不平衡(RCA)変換機器などを近くに置けば、バランス入出力のまま何とか使用できるかもしれません。
A/D、D/AあたりはW66と同じものを使用しているらしく、この点は問題ありません。
CDR-W66が現役だった頃はこのW33はアウト・オブ・眼中だったのですが、のんびりしていて気がついてみたらW66もW33も販売終了となっていてたいへん焦りました。探しまわって最初に手にしたのがこのW33だったのです。その時はW66の入手は全く不可能と言われ、がっかりしてW33を手にしたのですが、苦節数年、ついにW66の未使用デッドストックを手に入れたため、ひょっとしたらこのW33はお嫁入りを考えるかもしれません。