2007年11月21日発売、現行品
世の中にやっとミニディスク(MD)が浸透してきたころの1999年12月21日。SONYから再び新しいフォーマットのウォークマンが発売されました。それがメモリースティック・ウォークマンでした。当時は既にフラッシュメモリーを媒体にしたメモリー音楽プレイヤーは台湾メーカーなどを中心にパソコンショップなどで出回り始めていましたが、国内のオーディオメーカーから本格的なメモリー音楽プレイヤーが発売されたのはこのときが初めてだったのではないかと思います。
メモリースティック対SDというフォーマット戦争にも興味あるところですが、ここでお話ししたいのは、ソニーにとって初めて機構部分(メカ部分)のない、すべてが電子回路で構成された、ICプレイヤーの歴史が始まったと言うことです。
この初期のメモリースティックプレイヤーを始め、後にVAIOパソコンの周辺機器という位置づけでICプレイヤーを販売したりしますがいずれも市場に受け入れられずに去っていきました。その後はSONYというよりむしろApple社のiPod(これはHDDというメカ部分を持ちますが)+iTunesという新しい発想に引きずられるように音楽プレイヤー市場は動いていきます。
そんな中で平成17年(2005年)11月21日、再びSONYらしい製品が発表されました。それは高品質録音をすることだけを目指して開発されたICレコーダ、PCM-D1でした。初めて店頭でそれを試したとき、デンスケ以来の伝統をそこに見出してとても嬉しかった記憶があります。音もiPodのAACやMP3などとは次元の違う、肉薄するサウンドが実感されましたが、なにしろ¥198,000と高価すぎて明らかに放送局などの業務用途向けだなと思いました。
しかしそれから2年後、PCM-D1のテクノロジは手の届く価格帯へとモデルを変えて登場したのです。それがPCM-D50でした。価格はオープンなのですが、だいたい5万円を少し超えるくらいでした。今度は特に予約もしませんでしたし衝動買いするには少し高価でしたので、発売後数ヶ月して予算を確保し早速購入したのです。
昨今の機器はリチウムイオン型の充電式が多くなりましたが、PCM-D50は嬉しい単三乾電池仕様です。家に持ち帰るのも待てず、早速取り出して電池を入れ、道々電車も含めて録音大会をしました(笑)ところが、既にひとつのトラックにサンプル音(ガットギターの音など)が入っていて、それがビックリの音質でした。いままでのCDやDATなどあらゆるデジタルメディアがひっくり返りそうないい音なのです。サンプリング96kHz、24ビット非圧縮リニアPCMというのはここまでいけるのかと思いました。
これは誰もが指摘していることですが、録音するときに内蔵マイクを使用するのであるなら、録音中に本体を握ったり触れることのないような工夫が必要です。ほんの少しでも触れただけで内蔵マイクはその音を拾ってしまい不快な音として録音してしまうのです。外部マイクはまだ試していませんが心配なのは外部マイクのダイナミックレンジやSN比がせっかくのD50の高い性能をスポイルしてしまいそうです。マイクを選ぶかも知れません。
現在稼働中のポータブル録音機は、カセットデンスケのTC-D5Mと最先端のPCM-D50。最近になってDATデンスケのTCD-D10が加わり完璧な体制です(笑)。両者の特性がそれぞれどんな楽しみを与えてくれるのか。ちょっとワクワクした気持ちです。もっとライブ録音をさせてくれるような機会も欲しいですね。