SONY TC-1265 Mic in Matic L&M

マイク・イン・マチック EX-IIのLL学習用モデル

SONY Mic in Matic L&M
SONY Mic in Matic L&M

SONY Mic in Matic L&M

 

・TC-1265

 輸出用モデルは TC-95L / TC-95LS 

 (昭和47年発売)

   ¥29,800

 

このモデルは発売後2年経過した昭和49年に製造完了しています。

お年玉を握りしめて秋葉原のお店でマイクインマチックEX2を購入したときはまだ、TC-1260AのLL版は発売されていませんでした。もし既に発売されていたらコチラのモデルを購入していたかも知れません。

 

電子工作が大好きで、オーディオ機器などに憧れていた私はこのTC-1260Aを購入したてでありながら早速分解したりしましたが、その時既にTC-1260Aの外側のケースには兄弟モデルのための部品取付穴を確認していました。そしてそれがこのTC-1265というLLモデルだったわけです。

 

昭和40年代は英語教育界においてLL教育が盛んに行われ、各地の中学校や高校などにLL教室が新設されていました。オーディオ業界においても、各メーカーは盛んにカセットテープレコーダーにLLモデルを発売し売り込んでいたのです。SONYでも家庭用オープンリールモデルであるTC-222Lを皮切りに、カセットレコーダーのTC-1165などを発売していました。家庭用カセットレコーダーがTC-1160/TC-1177からTC-1260へと一本化されると、それに伴ってLLモデルのTC-1165もTC-1265へとモデルチェンジをしたのです。 それはTC-1260発売から2年経過した昭和47年でしたが、最初から湖のモデルにLL対応モデルを追加する予定で開発されました。そのためTC-1260/AとTC-1265は同じプラスチック成型金型を起こし、TC-1260/Aに不要な端子の穴は金属のプレートで覆い隠すという方法をとったのです。その部分は、入出力ジャックとしてHS-23AというLL用ヘッドセットの2連ミニプラグ端子用のジャック穴、ノーマルとLLモードの切り替えスイッチ穴、再生時のマスタートラックと生徒用トラックをミックスするときのバランス・スライダー取付穴などでした。

 

さて、TC-1265はTC-1165 LLモデルのモデルチェンジなのですが、大きく異なる部分があります。それは、TC-1165が2トラック2chモノラル仕様なのに対して、TC-1265はカセットテープ標準規格で規定された2chステレオのための4トラック2chを応用して、それをLL用にしたということです。このことで、TC-1165ではLLを使用するときはテープは片面一方向しか使用できなかったのですが、TC-1265ではLLモードであってもテープエンドで裏返して利用できました。LLモードではないときは、片側2トラックにそれぞれ同じ音を記録することで、録音特性の劣化を回避する仕組みになっていました。

 

このためTC-1165のヘッド類は使用せず、新たに2shステレオ用の消去ヘッドと録再ヘッドを採用しています。これらのヘッドが当時のステレオ用カセットデッキ(例えばTC-2100など)と同一であったかどうかは不明です。今後TC-2100などを入手したときに調べてみようと思います。

 

SONYではTC-1265以降もLLモデルを発売しましたが、LL自体のブームも昭和50年代には廃れていきます。

 

この個体は2011年に入手したものですが、個人経営の電気店が廃業に伴い放出したというデッドストックものでした。ほぼ40年倉庫に眠っていたということ自体レアものだと思ったのですが、事実元箱はおろか奇跡とも言うべき状態でした。元箱にはきちんと製品を固定する発砲スチロールにオリジナルのビニール梱包されており、本隊のプラスチックは少なくとも見た目では未使用のごとく光沢を放っており、端子などの金属類も錆やくすみは一切なく、録再ヘッド周りもやピンチローラなどもテープを通した形跡はありませんでした。

 

同梱品もACコードを除き欠品はなく、接続コードも使われた形跡どころか端子も光沢を放っていました。おまけに貴重な録音消去用ショートプラグまできちんと添付されていました。取扱説明書や保証書などの書類は透明袋に収められ未開封状態。また付属する本体ケースも全くの未使用状態。さらに同梱の電池(SONYブランドの単二マンガン電池)まで所定の場所に収められていました。

 

いままでのコレクションでは約20年くらい前の未使用品(TCD-D10)までは入手経験がありますが、さすがに40年も前の未使用品となると、よほどのコレクター放出品でもないと入手することはできませんので、コレクターが手を出さないふつうのカセットレコーダーがこのような形で入手できたことはまさに奇跡としか言いようがありません。

 

今は状態保存を行うため、本体は防湿袋に入れたほか、金属類は特殊な保護剤を塗布して保存を行っています。

 

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