SONY Walkman Professional
・WM-D6
(昭和57年2月21日発売)
¥60,000
・WM-D6C
(昭和59年2月1日発売)
¥64,000
このウォークマンは、録音再生が出来るタイプの中で、コストをかけて本格的な録音や再生のできる、オーディオ・マニア向けに開発され、プロフェッショナルと命名された最初のモデルです。 実態はわかりませんが、カセットデンスケのシリーズで大きなブランド力を持っていたソニーが、もうひとつのウォークマンという超小型カセットプレイヤーのブランド力を合体させることに挑戦した意欲的なモデルであると思います。
WM-D6が発売された昭和57年(1982年)というと、オーディオ業界においてはひとつの節目となった年でもあります。その年の昭和57年10月1日、SONYは他社と共に初めてのコンパクト・ディスク(CD)プレイヤーCDP-101をレコード会社と共に発売し、以後オーディオ機器のデジタル化が進んでいったのです。その直前に発売されたWM-D6は、アナログ方式の録音機としてまさに傑作機のひとつとなりました。
このころの私は、勤務先の都合上で地方都市におり、通勤電車ではなく自家用車で通勤や週末の移動をしていました。また当時画期的なスタイルで登場した、ベータマックスF1というポータブルのビデオ録画機とカメラにはまっていて、ウォークマンにはあまり関心がありませんでした。そういう意味では、別項で取り上げているTC-D5Mカセットデンスケにもあまり関心を持たなかったのです。
ただ、ウォークマンの歴史を振り返ってみると、やはりこのWM-D6ウォークマン・プロは困難な高音質回路や機構部品をこの小ささに凝縮させたという点で当時の技術を結集させた製品として大きく評価されるべきでしょう。
ただ、とはいっても音質の面では既に発売されていたTC-D5M(定価で10万円)には残念ながらかなうものではなく、TC-D5Mまでは買えなかったユーザがこのWM-D6を購入したものと思います。
このWM-D6は発売後2年してモデルチェンジを受けます。外観は殆ど変更はなく、ヘッドをD6のS&F(センダスト&フェライト)からアモルファスに変更したほか、ドルビーNRをB/C両方式対応にしたことなどが挙げられ、型番もWM-D6Cとなりました。WM-6Cは昭和59年(1982年)2月発売なのですが、その製造を終えたのは平成2年(1990年)のことだそうです。それだけこのモデルを求めるファンの声が強かったと言うことなのでしょう。