SONY Solid State IC-11 ICF-110 / ICF-110B

あの"イレブン"がICを採用した!

SONY ICF-110 FM/SW/MW 3Band Radio
SONY ICF-110 FM/SW/MW 3Band Radio
ICF-110(手前)とICF-110B(奥)
ICF-110(手前)とICF-110B(奥)

SONY

ソリッドステート IC-11

 

・ICF-110

  (昭和44年3月21日発売)

  ¥14,800

・ICF-110B

  (昭和45年3月発売)

  ¥14,800

 

世界初のICラジオ ICR-100
世界初のICラジオ ICR-100

ソリッドステート11シリーズの最高峰にして最後のTFM-110Fが発売された昭和42年、同じソニーからエポックメーキングなラジオが発売されました。それは「世界で初めて」IC(半導体集積回路)を使用した、「世界最小・最軽量」のラジオ、ICR-100でした。その頃の日本といえば、欧米に追いつけ追い越せの活気に溢れていました。ソニーも世界初、国内初、最小、最軽量といった、先端技術であることをアピールした商品開発を中心に据えていたと思います。ですからカタログに踊る「初めて」とか「最も・・・」の文字に心をときめかせていました。

そしてちょうど同じ頃、中高生を中心に若者達の文化として花開きつつあったのが中波ラジオの深夜放送だったのです。ニッポン放送のオールナイトニッポンを初めとしてTBSのパック・イン・ミュージック、文化放送のセイ!ヤングなど毎日未明の午前1時に始まる放送はその日の学校での話題となりました。誰もがマイ・ラジオを手に入れ、勉強しながら放送を聴きながら、夢中になって投稿ハガキを書きながら、と昼夜が逆転する深夜族などという新しい文化を生んだのです。

 

私もマイ・ラジオが欲しくなりました。お年玉を手に発売されたばかりのICF-110とSTA-110Fを購入しました。それが写真に写っているシルバーボディのICF-110だったのです。

 

ICF-110は、型式名が"ICF-xxx"となった初めての機種です。ICR-100は取り敢えずICを使ってみたというものでしたが、このICF-110は、そのICを主力機種に投入した初めてのラジオだったのです。さらに付け加えれば、FET(電界効果型トランジスタ)のラジオへの採用は初めてのことでした。その証拠にファミリー名も従来からの「ソリッドステート、11」という文字が誇らしげに使われています。中身といえば、ICが使われているのはもちろんのこと、全体のデザインも大きく異なる構成をとり、新しい世代の"イレブン"を主張しています。大きく変わったのは選局インジケータです。従来の11シリーズは一般のラジオと同じく各バンドの選局可能範囲を物差しのようにスケール表示させて、選局ダイヤルを回すのに連動して指針がスケール上を動くものでしたが、ICF-110では逆に指針が固定していて周波数のスケールが動くというものでした。そしてこの方法は以後スカイセンサーなどのBCLラジオに多く用いられて行きました。

 

肝心の"IC"ですが、実は子供心に胸をときめかせてくれた先端技術の投入というには少し情けない使われ方です。ラジオという受信機部分に使われていたのかと思いきや、スピーカから音を鳴らすためのパワーアンプの電圧増幅段にちょうど6石分のトランジスタを集積した形で使われています。その他の部分は合計11石のトランジスタが使われてますから、TFM-110FにくらべてIC化のメリットがどこにあったのかはわかりません(笑)ただ、11石のうち1石は受信感度向上のためにソニーでは初めてFETが採用されています。そのためTFM-110Fと比べて受信感度が3dBほど向上しており、実際両機種で遠方の局の受信をしてみると明らかにICF-110の方が感度が良い感じです。 これらの部品構成は後のスカイセンサー5500などと同じとなっています。

 

ICF-110が発売されてからおよそ1年後の昭和45年3月、ブラック塗装を身に纏った「ソリッドステートIC11ブラック」が発売されました。性能や内部回路などはシルバーモデルと同等でしたが、スピーカなど各種部品の一部を新しい設計としていたようです。このブラックモデル発売を機にシルバーモデルは生産中止となりました。

 

写真のICF-110/110Bのうち、ICF-110についてはお年玉で購入した、初めてのマイ・ラジオとして想い出のつまった個体です。完璧とは言えませんが今でもラジオとしてきちんと機能しています。もう40年過ぎてもなお受信してくれる我が家の最古参のAV機器とも言えます。一方ブラックのICF-110Bは、大卒で入社した際に先輩社員からいただいたもの。こちらも製造後40年以上経過するわけですが、受信感度も衰えておらず、昔と同様の受信をしてくれています。

 

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ソリッドステートIC-11シリーズの生産完了時期について

ICF-110系のモデル生産完了時期は、次の機種が出た時期と重なります。ICF-110はブラックモデルのICF-110B発売(昭和45年3月)と同時に生産中止となり、ブラックモデルのみが販売されました。そのブラックモデルも、後継機種であるICF-1100<ソリッドステートTHE11>発表と同時(昭和46年3月)に生産完了となりました。

※この時計の時刻は、閲覧しているパソコンのものであり、必ずしも正確な時間とは限りません
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