D51(デゴイチ)といえば蒸気機関車(SL)、SLといえばD51というくらい、日本の蒸気機関車として代表的なD51は、週末の朝JR東日本の高崎駅へ行けば風格ある出で立ちを実際に見て、懐かしい汽笛を聞きながら上越線の水上駅までの間を乗車して楽しむことが出来ます。
昭和時代の鉄道少年達の憧れといえば、特急・急行列車を牽引していたC62などのSLたちで、D51はいつも見かける地味な存在でした。"D51"などSLの形式に使われている英文字は動輪の数を意味しており、"C"は片側3輪で主に旅客列車用、"D"は片側4輪で主に貨物列車用として製造されました。なかでもD51は昭和11年から19年にわたり1200両あまりという国産機関車最大の製造を誇っています。それだけに貨物用機関車でありながら旅客用としても運用されました。SLが昭和50年代に廃止されたとき、最も身の回りに近かったSLとして、愛称デゴイチとともに皆の胸に深く刻まれたのでした。
国鉄時代にもSL復活はあり、SLやまぐち号(C57)などの例がありますが、JR東日本でも復活の検討が行われていた昭和62年秋、横浜博覧会よりSL復活の依頼により企画が本格化して、1年後の12月、オリエント急行のイベント列車から正式に復活したのが、このD51-498号機でした。それ以来各地のJR東日本路線で記念走行をしていますが、普段はこの上越線高崎駅と水上駅の間を快速列車として週末走行することで機関の維持に務めています。
※2011年6月4日より、JR東日本では新たにC61 20号機が38年ぶりに車籍の復活がなされ、D51 498号機と同様JR東日本高崎支社に配属、運行開始となりました。 これにより従来からのD51 498号機が定期検査や修理入庫をしている際にも切れ目なく週末のSL列車運転ができるようになりました。
朝10時少し前、D51は皆の期待とともに高崎駅を出発します。復活後もう20年近く経つというのに、しかも毎週のように運行しているというのに、乗客もそこそこいて、発車前のホームは賑わっています。窓が開かないのが撮影には残念なところでしたが、時速40kmくらいというゆっくりした速度で上越の山へ向かって登っていきます。恵美さんも初めて乗車するSL列車にワクワクして車内で寝てしまうことをすっかり忘れています。途中の沿線ではSLを写真に収めようとたくさんの人がいて、手を振ってくれました。恵美さんもそれに応えて手を振りコミュニケーションです。
残暑厳しい今年の夏でしたが、非日常体験としては楽しい一日でした。上越沿線は四季折々素敵な景色を味わうことが出来ます。関東地方にお住まいなら、意外に気楽に日帰りSL旅行を楽しむことが出来ます。時間があれば土日にかけて、水上温泉でゆったりとくつろぎながらの旅行もできます。オススメです。
撮影機材:Canon EOS5D Mark II, EF24-105mm F4L IS USM