今シーズンは、例年になく豪雪だった北の国や日本海沿岸。その地域で生活をしておられる方々にとっては、こうした豪雪は迷惑千万のことと思いますが、雪のない地域に住むウェブマスターにとっては憧れの的です。一年ぶりに恵美さんを雪国へと連れ出すことにしました。
ウェブマスターが幼少の頃から大学時代まで、ずっとお世話になったJR東日本の上越線を使って雪国の鉄道をテーマに撮ろうかなと考えて行程の計画を立てたのですが、とんでもないことがわかりました。上越線は新幹線のおかげで今やローカル線状態になっていたのです。水上-越後中里間のいちばんオイシイ区間は一日数本しか定期電車が走っておらず、昼間でも3時間に1本という有様です。どのように計画を練っても無駄な待ち時間だらけで、しかもこの区間は殆ど無人駅ばかりの上レストランや喫茶店など望むべくもありません。
ついに上越線は断念し、谷川岳の登山コース途中にある天神平というスキー場へ行きました。ここは登山をしなくてもロープウェーで登れて谷川岳直下の高原地帯に行くことができます。谷川岳は群馬県と新潟県をまたぐ、標高1970m余りの連峰です。特に冬の時期は日本海側から吹き付ける雪雲と西風にさらされて付近一帯は毎年大量の雪が積もります。
今年の天神平も期待を裏切ることなく、4m弱のものすごい積雪が僕達を待っていました。昨晩まで降っていた雪がさらに積雪を増していましたが、やっとのぞいた晴れ間が新雪をきらきらと美しく光り輝かせていました。新雪は歩くたびにキュッキュッと片栗粉にも似た小気味よい音を立て、パウダースノーであることを教えてくれます。
場所がスキー場ということもありましたが、昨年訪れた会津若松や南会津の大内宿とは全く異なる明るさと輝きに満ちた雪景色でした。谷川岳の雪を「陽」とすれば会津の雪は間違いなく「陰」といえるほど正反対な景色であったのが印象に残りました。
それでもこの谷川岳天神平付近は冬期は雪ばかり降っていますので、なかなか景色の良い日に巡り会いません。でも今回は行いが良かったのか、見事な快晴です。谷川岳の連峰だけでなく、遠く朝日岳や武尊岳(ほたかだけ)などもはっきりと視界に入るほどのパノラマでした。山々の特徴をご存じの方であれば、写真の背景をご覧になるだけで、どの山々を背景に選んだかがおわかりになると思います。
背景が雪ばかりで真っ白なのですが、恵美さんは寒さにもめげず(笑)普段とは異なるポーズをとってくれたので、見ていても楽しいカットが多く撮れました。写真を見ていると曇天の様に思えますが、本当は日差しが結構強かったです。カメラ側で露出補正を強めにかけて、背景の雪(ハイライト)がなるべく白飛びを起こさないようにしてみました。あまりに眩しく恵美さんも目を開けられないほどだったので、実は撮影のたびに目を閉じながらカウントダウンをして、カウントゼロで目を開けシャッターを切る、なんてこともやっています。
雪の写真についてはCanonもカメラ設計時の想定に含まれているらしく、露出やホワイトバランスは殆ど適正でした。連写するとISO感度が動くのが不思議ではありましたが。ただコントラストを現像ソフトにて若干上げることで奥行きの立体感を出しています。
最後の1枚は、JR上越線水上発高崎行きの普通列車です。115系という車両でウェブマスターが小学生の頃からもうこの地域を走っていました。思えばもう40年も前のことになります。その当時は上野発長岡行きなんていうとんでもなく長距離の各駅停車の電車がありました。沼田を過ぎると、冬場は駅に停車するたびにドアは手で開けます。最近のようにボタンで開け閉めをするのでなく、ドアを自分の手でガラガラと開けたり閉めたりするのです。発車の時だけ自動的にドアが閉まる仕組みでした。
今回もそうでした。とても懐かしく思いました。
撮影機材:Canon EOS 5D Mark II; EF24-105mm F4L IS USM