『あやめ』といえば、関東地方では『潮来(いたこ)』が有名ですね。霞ヶ浦の最も海寄りにある潮来市は、昔から水郷の古里として有名です。茨城県のなかでも鹿行(ろっこう)地域という南東部にあって、どちらかといえば千葉県の北東部と文化を分け合っています。ですから鉄道もJR成田線の香取駅で接続しているJR鹿島線沿線にあり、高速道路も東関東自動車道の終点が潮来ICになっているほどです。
潮来市の隣は茨城県鹿島市で、これも有名な鹿島神宮、そして全国的にも有名なサッカーJ1リーグの鹿島アントラーズの本拠地があるところです。
水郷地方は千葉県側にも広がっていますが、茨城県との県境には江戸時代に大規模な工事が行われた利根川の下流が海まで流れ注いでいます。その利根川だけでなく霞ヶ浦や北浦からの水が流れ出したり、時には海からの大潮が逆流するなどで、この一体は水に溢れた湿地帯でした。特にあの霞ヶ浦や北浦の昔は広く海水と真水が混ざり合う汽水湖だったのです。
このような低湿地帯の場所に菖蒲は多く群生しました。梅雨時には白や青、紫といった可憐な花が咲く菖蒲は、日本の情景の一つとして昔から人々に愛され大切に保護を受けてきたのです。
梅雨時は気候的にも屋外撮影をためらいがちですが、梅雨ならではの情景といえばやはり鎌倉の紫陽花や、潮来のあやめということになると思い、恵美さんを連れて出かけてみました。前回の薔薇園と対比させてみると、背景のお花や情景が異なるとこれだけ雰囲気が変わるのかと思うほど恵美さんの表情や雰囲気も変わります。やっぱり恵美さんは素敵な日本女性でした。そして撮影者もやっぱりこうした日本古来の情景が大好きだし、これからも追い求めていきたいと思いました。
ちなみに、最初の数カットは『潮来の嫁入り舟』といって、水郷ならではの船に乗って嫁いでいく風習を、そのとき写したものです。しかもこれはパフォーマンスではなく、本当の嫁入りを撮影できたものです。当日はこうした嫁入りが3組あったそうです。とてもめずらしく、記憶に残る情景でした。
さて、話は変わりますが今年の春から撮影機材も新しくなりました。Canon EOS 5D Mark IIIというデジタル一眼レフカメラなのですが、先代のEOS 5D Mark IIに比べると、撮影時の色合いがほんとうに自然で(専門的に言えばホワイトバランスが自然)で、後からの修正がすごく楽になりました。しかも今回から専用のソフトウェアに追加機能として、デジタル・レンズ・オプティマイザ(DLO)という機能があって、これを使うとものすごく解像度を高められることが実感としてわかりました。今回からその機能を使うことにより、無理矢理シャープネスを強めるのでなく、自然な感じで解像感を高められ、カメラの持つ2200万画素という解像度をフルに味わえるようになりました。ただ、このサイトでご覧いただいている写真に超高解像度のままアップロードすると余りにも重すぎるため、800x800ドットサイズのファイルに落としているため、残念ながらDLOの衝撃的な超解像度を味わっていただくことができないのは残念です。
このDLOは先代のカメラ(Mark II)でも対応レンズであれば現像し直すことができるようなので、いずれ過去に遡って現像し直してみようかと思っています。でもただでさえ重いファイルサイズ(撮影時のままだと20-25MB/カット)が、DLO現像をすると2倍の40-45MBにもなってしまい、3600万画素を誇るNikon D800なみになってしまうという恐ろしさなので、今後保存のためのストレージやバックアップには十分に注意しないといけないな~というのが目下の悩みです。
撮影機材: Canon EOS 5D Mark iii / EF24-105mm F4L IS USM