菜の花 (Tenderstem Broccoli)

一足先の春

菜の花畑
菜の花畑

真冬の越後を体験してきてからまだ1ヶ月も経っていないのに、今度は春の空気を菜の花畑で満喫してきました。

 

小さい頃から菜の花と言えば桜と並んで春という季節のシンボルみたいな存在です。和歌や俳句などでの季語としてもよく用いられますし、有名な唱歌「おぼろ月夜」はすぐにでも口ずさむことができるくらいです。僕が小学生の頃は家の周りにもよく菜の花が咲いていて、黄色く咲き乱れる花は長い冬を終えて希望に満ちた暖かい春がやってくることを実感していたものです。今の子供達はなかなかそうした季節を感じることも難しくなりました。

 

菜の花でググってみますと、開花時期は2月初頭から5月初頭あたりまでが普通のようです。ですから3月中旬と言えばきっと満開だよねっていうわけて房総にあるマザー牧場へとクルマを走らせました。事前にホームページ見ると、どんどん見に来てくださ~いみたいな様子でもあったし(笑)。

 

このところ何故か関東地方は週末になると雨です。どうしてこう規則的に雨になるのやらわかりませんが、実際前日の土曜日は本降り(泣)。なんとか日曜日は曇りと予報が出たのですが、怪しい感じです。こんな天気のせいかマザー牧場に着いたけど思ったほどクルマの混雑もなく入り口ゲートにわりと近いところにクルマを駐められました。

 

今年は全国的に寒波の影響で春が遅めです。マザー牧場はそれでも比較的暖かくコート着用は不要だったのですが、やはり葉の花も完璧ではありませんでした。もちろん主なところは丘全体に黄色く咲き乱れていて撮影も十分堪能できましたが、結局菜の花は撮影に行ったけど菜の花しか撮影できませんでした。それでいいじゃないかという声もいただきそうですが、こうしてフォトギャラリーを見ていますとすべてが黄色い菜の花だらけで100カットちかく見せられると、さすがにもう少し別のはないの?って感じになってしまいます。

 

ただ、ずっと恵美さんの撮影を続けてきて、菜の花は是非撮りたいテーマだったので、満足ではあります。

 

どこかの掲示板にデジタルカメラの色合いを現像調整するとき、そこには「記憶色」というカラーの表現方法があるということを教えていただきました。それは本当の色の再現ではなく、鮮烈に?それとも淡く?記憶に留められた色の特長です。つまり撮影した写真をどなたかにご覧頂きたいときに、調整されるカラーバランスというものには大きくデフォルメされた自分の記憶色があり、それがメッセージとして伝わるのだというものです。

 

たしかにそうだ。自分が撮影している写真は報道写真ではないのです。自分が感じた、感動した色に仕上げることが大事なのです。そう考えたときに僕はカラー調整をしながら重圧に思っていた自分の記憶と本物の色合いの差から解き放たれたと思いました。

 

もちろん、だからといってとんでもない色に仕上げようというわけではありません。私は印象派ではないのだから(笑)。でも自分が心で感じた色をそのまま再現することで、観ている方にその気持ちを伝えることができたら素晴らしいことだと思いました。

 

あくまでポートレートなので恵美さん自身をごく自然に美しく仕上げることは第一ですが、今回は菜の花の色合いにこだわってみました。私が実際に現場で観て感動した美しい菜の花の色が、これです。

 

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撮影機材:Canon EOS 5D Mark II / EF24-105mm F4L IS USM

※この時計の時刻は、閲覧しているパソコンのものであり、必ずしも正確な時間とは限りません
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