TK-80発売から4年経過した1980年、日本電気はTK-80後継機としてTK-85トレーニング・マイクロコンピュータを発売しました。パーソナルコンピュータとしては既に前年(1979年)同じ日本電気からPC-8001が発売され大流行となっていました。この時期になぜ日本電気はTK-80の後継機を送り出したのかはよくわかりません。PC-8001がμPD780A(Z80A互換)をプロセッサとして採用し、またインテル社もi8085Aに主軸を移していたこともあり、μPD8080Aの時代は終わったとして、残るμPD8085A(i8085A互換)の販売促進策として登場させようと考えたのでしょうか。
当時日本電気は独自の開発システムや評価キット(EVAKIT)を商品化していましたが、低価格なワンボード・マイコンでの提供とTK-80BSとの組み合わせを考えたのかも知れません。
TK-85はキットではなく完成品で販売されました。時代は進み電源も+5V単一で済むようになり、価格も¥44,800とさらなる低価格になっていました。
しかし殆どの個人ユーザ層は既にPC-8001へ向かってしまい、だれもTK-80BSの延長線は考えませんでした。本来のアプリケーション開発者や教育用途しかなかったわけです。はたしてどの程度売れたのでしょうか・・・
NEC TK-80シリーズ用ROM/RAM/IO拡張ボード。
価格:¥88,000
趣味としてTK-80/BSを使うなら殆ど標準のTK80-BS搭載メモリで十分でしたが、実際に計測制御用プログラムを組むとTK-80BS標準メモリではとても足りませんでした。大学の主任教授にお願いしてこのボードを購入してもらい、卒業研究のソフトを組みました。
当時は価格が高くてこうしたシステムの拡張を行うのもなかなかできませんでした。
TK-80E/TK-80BSと共に買い求めたのが電源です。もともとTK-80は部品キットなので電源は含まれていませんでした。TK-80とBSのキットでは+5Vが2W近く必要なので、普通のレギュレータを作ると、大きなトランスやレギュレータIC、そして放熱板が必要でしたが、ちょうどそのころ小型のスイッチングレギュレータが登場し始めた頃で、迷わずそれを購入したのです。
メーカは新電元工業株式会社といい、今でも電源システムや電源用部品などを作り続けています。