i4004発表後わずか半年後の1972年4月に、今度は処理ビット数を倍に増やしたi8008が発表されました。
このi8008も日本のメーカからの受注による開発でした。発注したメーカは精工舎(現在のセイコー・エプソン)だったといわれています。しかし今度もまたインテル社は同社のブランドで販売することのできる契約を結ぶことに成功し、発表したわけです。8ビット並列処理になり処理命令数も増えましたが、クロックがi4004比で2倍程度であったため、実際の処理能力も2倍程度にしかなりませんでした。
「Radio Electronics」誌によると、ホビー・コンピュータに夢中だったDon Lancasterという人が、このi8008を使用してパソコンの原型となるRadio Electronicsという装置を作ったそうです。しかしこの装置は「テレビ・タイプライター」と呼ばれて、通信やテレックスなどの端末として使用されたとのことです(インテル社の資料による)。この時点では、この装置は汎用として使用できない(=re-programabilityがない)ため、コンピュータと呼べるものではありませんでした。単にフルキーボードと表示装置(モニタ)をUI(ユーザ・インタフェース)にしただけです。この人がそのときにプログラムを自由に入れ替えることに気付いていたなら、歴史は変わっていたかも知れません。
いや、実はこの時点では既にインテルの開発陣はi4004やi8008の汎用性に気付いていたのです。彼らがその時点ですぐパソコンを開発していたら、歴史はもっと早く動いたかも知れませんが、なぜ開発しなかったのでしょう。きっと彼らは自分の興味として新たな画期的なプロセッサを開発することにあったのかも知れません。